-THE COFFEE JOURNAL-
#2 「ブラックは苦手なんです。」
「ブラックは苦手なんです。」
店頭で、次によくいただく言葉です。
そうおっしゃる方に、私たちはまず理由をお聞きします。
「苦いから。」
「昔飲んで苦手だったから。」
「酸っぱいコーヒーも苦手。」
「なんとなくブラックは飲めない。」
理由は、本当に人それぞれです。
ブラックコーヒーを苦手になる理由は、一つではありません。
焙煎が深すぎたのかもしれない。
作り置きされ、煮詰まったコーヒーだったのかもしれない。
あるいは、苦味を避けて選んだコーヒーが、今度は酸っぱすぎたのかもしれません。
実は、私自身もかつてはコーヒーが苦手だと思ったことがあります。
家業が珈琲店だったにもかかわらず、飲みたいと思って飲むことは
ほとんどありませんでした。
苦いものがコーヒーなんだろうな。
そう思っていました。
その考えが変わったのは、自分でコーヒーを焼くようになってからです。
焼き上がった豆の香り。
挽いた瞬間に広がる香り。
お湯を注いだときの香り。
口に含んだときに立ち上がる香り。
そして、飲み終えたあとに続く余韻や、空になったカップの縁に残る香り。
風味、質感、粘度、密度、甘さ。
そのすべてが、それまで私が知っていた珈琲とは別次元のものでした。
「これは、新しい時代の珈琲だ…。」
そう感じました。
これは、まだ体験したことのない人に伝えなければならない、伝えたい。
と、思いました。
それから、たくさんの生豆と出会いました。
一つひとつの豆と向き合いながら、それぞれが持つ魅力をどうすれば一杯のなかに表現できるのか、試し続けてきました。
少しずつラインアップが増え、以前よりも幅広い好みに合わせた一杯をご提案できるようになりました。
だから、「ブラックは苦手なんです」と言われたとき、まずはこう伝えます。
「よかったら一度、そのまま飲んでみてください。
もし飲みにくければ、砂糖を入れてもいいし、ミルクを入れてもいいんです。」
店頭では、コーヒー専用のお砂糖「ズッケロ」をご用意しています。
「最後にズッケロを入れてみませんか。」
そうお声がけすると、
こういうコーヒーに「砂糖を入れるのは邪道だと思っていました。」
そんな言葉が返ってくることがあります。
私はいつも、こうお答えしています。
「私も、苦いより甘いほうが、絶対おいしいと思いますよ。」
コーヒーはブラックで飲めることが全ての正解ではありません。
砂糖を入れてもいい。
ミルクを入れてもいい。
自分がおいしいと思える飲み方が、その人にとっての正解です。
ブラックは苦手。
その言葉は、コーヒーを遠ざけるための言葉ではありません。
もしかすると、まだ出会っていない一杯に出会うための、最初の言葉なのかもしれませんね。
To Be Continued...
THE COFFEE JOURNALでは、焙煎や抽出の話だけではなく、コーヒーの歴史や文化、生産地のこと、日々の発見や研究、そして一杯のコーヒーの先にある豊かな時間について、店頭でいただいたお客様の声も交えながら綴っていきます。
コーヒーにはひとりひとりに好みがあります。
もちろんすべての人にあてはまる正解があるわけではないですが、コーヒーには、まだたくさんの可能性があります。
その可能性を、一緒に探していけたらと思っています。
今回のおすすめコーヒー
PANAMA LA ESMERALDA GEISHA NATURAL
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